東京外国語大学の出願を迷っている方へ

東京外国語大学の出願を迷っている方へ

 

この記事は、共通テストを終えて、東京外国語大学の出願を迷っている方に向けた記事になります。入学したい気持ちがあるなら最後まで頑張って欲しい!という思いを込めました。自分の経験をできる限り書いたので、皆様の参考になれば幸いです。

(1/23夜追記しました)

 

はじめに

 私は東京外国語大学に2019年に現役で入学した、言語文化学部4年生の者です。専攻は南アジア地域です。

 当時は、東京外国語大学(以下東外大)の二次試験で英語のスピーキング試験がありませんでした。また、一次試験にあたる共通テストも「大学入試センター試験」という名称で、内容も多少変化していると思います。

 ですので、それぞれの試験の難易度が今と私の時代では異なると思います。そのことを念頭にお読みください。

 

志望理由 ※長いので時間がない方はとばしてください。

 高校2年生の秋、友人に「世界の色んな料理が食べられるよ!」と誘われ一緒に外語祭に行きました。それまで私は理系の生物選択で、情報系の大学を目指していましたが、世界史の先生が案内してくれるというのもあって、興味本位でついて行きました。 

 しかし、円形広場にバアーッと並ぶ料理店、講義棟の2・3階から垂らされている様々な語科の催し、先輩の楽しそうな学生生活の話…などなど、それまで東外大がどんなものか全く知らなかった私は、一日で魅了されてしまいました。

 具体的に述べると、「この大学ならば世界の様々な言語、文化をもっと学ぶことができる!絶対入ったら楽しいだろう!」と道が開けたからです。元々理系の身でありながら世界史Aが好きでした。歴史や世界文学、クラシック音楽、西洋美術など、文化的なものが昔から好きだったので、世界史はかなり楽しかったです。また、英語も得意というほどではありませんでしたが、先生の指導が熱心だったのと、高校の多読の宿題をする中で「外国語を読んで理解することで、日本語という枠を超えて新たな世界を知ることができるなんて、なんて素晴らしいことなんだ!」と感じ、勉強にも熱が入りました。

 理系選択だったのも、「ロボットとかスマホとか最新の機械好きだし、情報系に進めば就職にも有利だろう」という安易な考えからで、数学・生物は微妙、化学は壊滅的な成績でした。

 そんな中、言語を通じて世界各国の文化一般を学び、理解を深めるという東外大は、本来の私が一番学びたかったことと一致していました。歴史、文学、音楽、美術、外国語…etc.自分が趣味として好きだったものを大学で学問としてきちんと学べること、が魅力的でした。

 翌年2018年2月まで理系の勉強つらいなぁ~と思いながら東外大に対する憧れを引きずり、バレンタインあたりに理系から文系に変更しました。もちろん第一志望は東京外国語大学です。

一次試験前の志望語科

 東京外国語大学には学部が3つあります。(言語文化学部、国際社会学部、国際日本学部)

 さらに言語文化学部、国際社会学部の中で、27の言語の専攻、いわゆる語科に分かれます。なので、受験生は学部と語科の志望順位を決める必要があります。

 本番の出願時には学部を選択し、例えば言語文化学部ならば志望地域と、その中での言語の志望順位を3つ書きます。(南アジア地域を選択した場合、1位ウルドゥー語 2位ベンガル語 3位ヒンディー語、という感じです。)

※2019年度入試の記憶なので、最新のものを確認してください。

 

 私は言語と文化を学びたい、という思いがあったので、当初から言語文化学部を志望していました。また、文転当初はフランス語志望でした。なぜなら、親族で昔フランス語をやっている人がいたのと、当時フランス革命が好きで好きでしょうがなかったからです。

 しかし、年によって語科の倍率は変化します。時流の変化や、偶然志望者が多い場合もあります。また、元々志望者の多い語科(倍率が一定して多い言語、ボーダーラインが一定して高い言語)も存在します。

 高校3年生の夏あたりから、フランス語は自分の成績では無理そうだと思い、中央ヨーロッパ地域のポーランド語、チェコ語を志望し始めました。ドイツやフランスも面白そうだけど、地理的に近くて、かつ他の大学にはない言語をやるのもいいなと思ったのと、文化的に私が好きなものがあって面白そうだと思ったからです。

 秋頃からは、徐々に現実的に考えるようになったのと、自分は文系の中でも一年勉強が遅れているという負い目から、何の言語でもいいから真面目に勉強してその分野で一発花を咲かせるのもアリだと思い、「せっかくならこの大学でしかできない言語をやろう、どの言語もそれを使用して生きている人がいるんだから面白いじゃないか」という気持ちも芽生えてきました。そこで東南アジア、南アジアの言語も候補として考えるようになりました。

悲惨な共通一次試験

 センター試験は悲惨でした。知り合いにばれたら恥ずかしいですが、時効だと思うので点数を開示します。ドン!

※汚くてすみませんm(__)mこれは大学入試センターにお金を払って、公式に成績開示してもらったものです。4月ごろに送られてくるので、受験時にはわかりません。画像の点数を東外大用に換算すると、342/450になります。

 事故採点は画像のものより少し低くて、英語が161点、数1Aが64点でした。東外大の換算では、339/450です。75.3%ですね。(85%とるつもりだったのに…)判定も中央ヨーロッパ、南アジア、東南アジアの言語全てD判定かE判定でした。ワオ。

河合塾 よく見るとウルドゥー語はギリギリ定員内です

データネット 輝くE判定 バンザイシステムも出しましたが破り捨てました

 

自己採点後、東外大に出願を決めた理由

 判定はボロボロだし、先生には「この英語の点数だと二次試験も無理だから他の国立にしろ」と言われて、泣きながら電車で帰りました。というのも、一次試験でこの点数は、過去のデータからして合格者最低点かそれ以下だからです。

 ですが、

・そもそも国立大学に拘っているわけではない、ただ言語と文化が学びたいだけ。

・語科ももう拘っている場合じゃない。なんの言語でもいいから自分が憧れた大学に入学したい。

・二次試験は二科目だし、配点も400点だから、東外大に集中して頑張れば逆転できそう。

と思いました。

 実際、二次試験の過去問はそこそこやっていました。むしろ一次試験は早く・多く・正確に解く問題だったので、二次試験のようにじっくり考えて文章で答える方が得意な私は、一次試験が苦手でした。対策も正直おろそかになっていたかもしれません。

 泣きまくり、過去の入試データと判定結果に載っている志願者の分布図を見比べた結果、ある極論にたどり着きました。それは、「定員の最後の一人に潜り込めればいいんだ」「過去のデータからの判定なんて覆せる」「いやむしろ俺がそうなってやる!!!」ということです。

 要は「最悪、自分が合格者最低点で入学してやる!!!!!」と思えばいいのです。勿論点数は高い方がいいですけどね。

出願する際の語科選び

 いよいよ出願するとなった時、言語文化学部なら志望地域と、その中の言語の志望順位を書く必要があります。ここで私が重視したのは、以下の二点です。

①成績面において、スレスレでもいいから合格できそうか。

②入学後、その語科でいいと思えるか。

 

①成績面において合格できそうか

 塾が出した判定結果のプリントと、東外大の公式HPから過去の入試情報を見ることが重要です。例えば、判定結果のプリントに関しては、判定に目が行きがちですが、「分布図のどこに自分が位置しているのか、定員に対し自分は何人目で、あと何点で上の点数の人を追い越せそうか、定員に滑り込めそうか」が重要だと思います。

 過去の入試情報に関しては、志望する学部・語科の前の年の一次・二次試験の最低点・最高点、合格者数、倍率などを見ました。忘れてしまいましたが、当時めっちゃ鉛筆で印をつけて、どこなら入れそうか真剣に考えました。

 私の予想ですが、例えば前年倍率が5倍近い地域だったら翌年みんな避けそうだなとか、今年はあの国のニュースが話題になったから増えそうだな、とかそういうことも込みで考えました。

 

②入学後の自分を想像する

 言語文化学部なら、最低3年間その言語とつきあうことになります。途中で専攻言語の変更はできません。(専攻言語以外に、他の言語を学びたい場合は沢山授業があります。ですが、専攻語は必修科目といって、合計28個授業をとらないと卒業できません。)よって、地域・言語選びは重要です。

 正直、一次試験を終えた私は「とりあえずこの大学に入りたい、私は色んな文化に興味があるしどの言語でも何かしら面白いものはあるだろう」という考えだったので、地域や言語にこだわりはありませんでした。

 

(1/23追記)

「どの言語にも何かしら面白いものがあるだろう」というのは間違いではないと思うのですが、裏返して言えば成績的にそう思わざるをえなかったのと、私が何でもいいから外大に入りたいという考えだったからです。勿論自分の好きなもの、興味のあるものの方が長続きするとは思います…。

 

そこで、以下の2点を調べました。

・言語自体の特性、その言語が話されている国の情報

・語科の雰囲気、授業・課題の量

 ここで役立つのが、外語祭実行委員会が発行している雑誌「たふまにゅ」です。これは、毎年11月に開催される文化祭(外語祭)で、紙媒体で無料でゲットすることができます。ネットでも閲覧できます!(検索したらでてくるので多分合法です。外実委員さんがもしこの記事を見てくださっていたら、ぜひホームページに過去のものもリンク集に一覧で載せてください。需要あると思います。)Google Chromeで、「たふまにゅ 年度(例:2021)」と検索すると、上の方にPDFの形式で表示されます。

 そこに載っている、「語科紹介」のページがかなり有益です。1年生が自分の語科の紹介文を書いており、例えば話者人口であったり、言語の好きな点であったりが載っています。短い文章で簡潔にまとめられているので、色々な言語が比較できて便利です。

 加えて、2022年度のものには記載がなかったのですが、直近だと第98回外語祭のもの(「たふまにゅ 2021」と検索すると出てきます)には、「授業の厳しさ、課題の量、語科の雰囲気」に関して、楽~鬼の五段階評価が載っています。これを見ると、その語科の授業や雰囲気がなんとなくわかり、自分に合うのか想像することができます。是非見てみてください!

 恥ずかしいのと、皆さん自身で考えてほしいので経緯はまた別の記事に書こうかなと思うのですが、最終的に私は南アジア地域、第一志望はウルドゥー語にしました。

(1/23追記)因みにウルドゥー語科に進んだことに後悔は無く、4年間楽しく過ごせました。ですが、1年生の夏頃まであまりやる気が出なかったのも事実です。どの地域・言語でもやってるうちに夢中になれるものが出てくるとは思いますが、やはり語科選びは様々なことを考慮した方が良いです。

まとめ ー出願する際に大事なことー

①志望度

・自分が大学で何を学びたいのか、その大学でそれを学べそうか。

・その大学で4年間楽しく過ごせそうか。

・受験勉強を始めた時、自分は何が良いと思ってその大学を選んだのか。(初心を思い出す)

②成績

・一次試験が思うようにいかなくても、二次試験の結果で頑張れば合格できそうか。

・二次試験まで対策を頑張れるか。

 

 学校や塾の先生、両親、友達、ネットの情報など、様々な意見があり、出願を迷ってしまうこともあると思います。ですが、大学に入学して、4年間学ぶのはあなた自身です。だから、最終的には自分で判断して欲しいです。

 私もこの記事を通して、無理に出願を勧めているわけではありません。志望理由、学びたいこと、成績、周りの意見など、人によって様々だと思います。

ただ、入りたい気持ちがあるなら最後まで頑張って欲しい、ということです。

全ての受験生に、幸あれーーー。